つい先日、カナダのハリファクスにおける一年間のワーホリから帰国したこぼれ雨でござる。
今回は、拙者的に最も「ワーホリしてる感」があった体験を紹介する。
それは、Halifax Lancers(ハリファクス・ランサーズ)での厩舎ボランティアでござる。
Halifax Lancersとは
まずはHalifax Lancers(ハリファクス・ランサーズ)について軽く紹介する。

Halifax Lancersは、カナダで唯一街中に構えられた乗馬センターでござる。
厩舎と聞くと人里離れて開けた場所にあるイメージだが、こちらはダウンタウン中心かつ博物館のお隣さんでござる。
この良好なアクセスと80年以上にわたる歴史もあってか、地元民から愛される団体でござる。
馬の数はその時々によって変動するものの、本記事執筆時点では29頭の馬が暮らしている。
乗馬教室は年齢帯で分かれたレッスンがあり、祝日にはミュージカルライドといった公演を行ったりしている。
他にもセラピー乗馬プログラムも儲けており、拙者が参加したのはこのプログラムのボランティアでござる。
セラピー乗馬について
ボランティアでは乗馬するのは拙者らではなく、セラピープログラム利用者ござる。
セラピープログラムでは、特定の診断を受けた人たち(5歳以上)が利用することができる。
お察しの通り、セラピー乗馬利用者は基本的に何等かの身体的・精神的問題を抱えた人たちでござる。
彼らは乗馬を通じて心身の健康、達成感、自尊心などのの向上を目指している。
例えば、普段は車椅子の人でも、馬に乗れば比較的自由に動くことができる。
それだけでなく、バランス力を鍛える運動となったり、馬と触れ合うことで精神的安定を期待できたりする。
拙者のシフトでは、セラピー利用者は子どもが多かったのだが、たまに大人もいた。
このプログラムはかなり人気のようで、待機リストが存在する。
また、利用にあたって満たさなければならない条件も複数存在する。
ボランティア参加ではなくセラピー利用を考えている人は、事前に公式サイトから確認してほしい。
また、ボランティア参加には乗馬経験は不要だが、事前に経歴/犯罪歴証明が必須などいくつかの条件がある。
他にも、ボランティアへの参加は難しくても、寄付によって運営を支えることもできる。
Halifax Lancersおよびセラピープログラムに興味のある人も、ぜひ公式サイトから確認してほしい。
初心者で登録
そもそも、この団体やボランティアを知ったきっかけは、2025年7月1日カナダデーにおけるイベントにて。
ここで興味を持った拙者だが、当時はセラピープログラム期間外でござった。
ということで、次期タームまで一旦待機し、秋のボランティア募集が始まるとすぐに登録したぞい。
ボランティアには、何年も参加している経験者から、拙者のような初心者までいる。
仕事は習熟レベルによって適切に振り分けられるので、己の経験値に嘘偽りなく申請しよう。
もちろん拙者は初心者で登録したぞい。
なお、ボランティア登録時には「Back Ground Check」と言って、経歴や犯罪歴の調査を受ける必要がある。
こういう犯罪歴照会制度、日本でもどんどん取りいれてほしいでござるよ……(´・ω・`)
調査は指定された場所で受けるのだが、今回はHalifax Regional Police(ハリファクス地方警察)でござった。
こちらもダウンタウンにあるのでアクセスとしては問題ない。
ただし、予約を取ることができない上に割としっかり待たされる。
また、身分を証明できる公的書類が2種類必要でござる。
拙者はそれを忘れており、パスポートを取りに帰ったぞい。
ちなみに身辺調査には$50かかるのだが、Halifax Lancersからの割引を使うと$30で受けることができる。
「Halifax Lancers ボランティア登録のため」的なことが書かれた紙を印刷して持って行くだけでいいので、面倒くさがらずに$20の割引を活用しようぞ。
(※割引制度は2025年度秋ボランティア募集時の特典であり、今後も保証されるものではありません)
活動頻度
ボランティア週一回のシフトが最低のノルマでござる。
仕事内容と習熟度によって多少の違いはあるが、基本シフトは2.5時間が1シフトと見なされる。
シフト枠としては、毎週金曜日の午後に2シフト、日曜日の午前に2シフトの枠が存在する。
毎週4つのシフト枠から選ぶことができるのでござるな。
最低1シフトと聞くと少なく感じるかもしれないが、拙者は一日に2シフトはやめておくことをオススメする。
というのも、1シフトで十分しんどいのでござる。
厩舎ということもあって、足場が悪くて結構寒い。
あと、清潔とは言い難い(笑)
加えて、セラピー利用者は先述の通り、様々な境遇の人たちである。
どちらの要素も仕方のないことでござるな。
2.5時間で普通に消耗するし、仕事内容によっては最初の1時間くらいで集中が切れる。
たまに一日に2シフト連続で取る人もいるが、初心者はあまりオススメできない。
「ボランティア」なので、基本は自発的な善意での参加になる。
無理して5時間参加するより、週にたった1回でもいいからお手伝いすればそれで十分でござる。
集中が切れてパフォーマンスの落ちた状態では、結果的に子どもたちや馬を危険に晒す可能性もあるゆえ。
なーんて先輩風を吹かせているが、恥ずかしながら拙者は慈善活動特有の闇堕ちをしそうになった経験が……。
この件は別記事でゆっくり語ろうと思うので乞うご期待。
最終的に拙者は2025年秋シフトと2026年春シフトに参加した。
秋は10月~11月、春は3月半ば~5月半ばまで開催された。
興味のある人は、各々の滞在時期/期間と相談するとよいだろう。
初心者のボランティア内容
さて、ビギナークラスで登録した拙者だが、その業務内容をちょっとだけ紹介する。
各シフトでは「シフトリーダー」と呼ばれるベテランボランティアが手綱をリードして先頭を歩く。
初心者にできる仕事としては、主に補助系の仕事が多い。
カテゴリとしては「Side Walker(並行者)」「Ramp Assistant(場内補助)」「Alternate(補欠)」でござる。
ざっくり内容を説明するとこんなかんじ
Side Walker(並行者)
ライダーが落ちたり姿勢を崩したりしないよう、横に付いて歩いたりライダーの足を固定したりする。
相手が乗馬上級者ならお役御免なことも。
ライダーがフランス語話者ならば、それだけでフランス語可能なボランティアが横に付くことになる。
なお、馬が駆け足になったら馬と並走しなければならない(←⁉)
Ramp Assistant(場内補助)
三角コーンやバケツとなど備品の準備/片付けから、馬の排泄物の回収までなんでもこなす雑用係。
典型的な日本人は得意な仕事だと思われる。
Alternate(補欠)
ボランティアに欠員が出た場合の代打。
シフト開始後15分くらい待機して、全員が揃っていれば帰宅できる。
冬場は雪で急に来れなくなる人が多いので、補欠どころかガッツリスタメン。
ちなみに拙者のお気に入りは「Ramp Assistant(場内補助)」でござる。
うんこ集めるのが何気に楽しかった。(ダイレクトに表現してすまぬ)
セラピー利用者は心身に何か抱えている人がほとんどで、特に子どもは人見知りな子が多い。
新参者な拙者は彼らを怖がるわけにはいかず、暇な時間でも無表情にならないように微笑みを心がけていた。
そして、馬がうんこするや否や手押し車と厩舎フォークと共に駆け付ける。
満っっっっっっっっっっっっ面の笑みで。
結果的に拙者は「ニコニコうんこ集めネキ」になったのでござる(笑)
逆に個人的にちょっとしんどかったのが、「Side Walker(並行者)」でござる。
馬上にいるセラピー利用者を支えて歩き続けるのだが、何をどう声かけたらいいのか分からぬ(←コミュ障)
もう常にスベッている気しかせん(笑)
馬と並走するのは楽しいんやけどな……。
あ、なんやかんや馬は賢いので、スピード抑えながら走ってくれるぞい( ^ω^ )
ボランティアを通じて学べたことの一つは、拙者は対人作業に向いていないということでござる(知ってた)。
注意点
このご時世、こういうこと言っちゃコンプラ的にマズいとは思うのだが、意見の一つとして書いておく。
やはり「セラピープログラム」ということで、利用者は大なり小なり心身に問題を抱えている。
さらに、その多くが子どもである。
ゆえに、どうしても健常者や大人の立場から接すると、うまくいかないこともある。
分かった上での参加ではあったが、人間なのでどうしても「疲れた」と思ってしまうこともある。
自分に余裕のない人や、子どもが苦手な人は参加を慎重に考えた方がいい。
ただし、だからこそ学べることも多いとも言える。
ボランティアスタッフはみんな忍耐強くて寛容でござった。
拙者だったらすぐさま自棄を起こしそうな事案でも、落ち着いて取り組んでいる人が多かった。
「こう接すれば子どもは話を聞いてくれる」
「こういう場面では潔く諦めた方がいい」
など、思わず感心してしまうことも多々あった。
また、人間との交流がメインなので、馬との触れ合い目的の人は「コレジャナイ感」に陥るかもしれない。
それでもグルーミング(馬へのブラッシングなど)や、シフト後の空き時間で馬と触れ合うことはできる。
ほんの少しでもいいから馬との時間を過ごしたい人にはおすすめでござる。
ちょっと困ったこと
地味に困ったことは、「同じ名前の人が多い」ということでござる。
特に、エミリー、レベッカ、ハンナ、メーガンあたりはめっちゃ多い。
どう困るかと言うと、こんなかんじ↓

この仕事で質問があるのだが、誰に聞けばよいか?

それはレベッカ(A)に聞けばいいよ!

レベッカ(B)でござるな、了解!
といったかんじでござる。
このやり取り、第三者目線で見れば「どのレベッカかお互いに確認しろよ!」の一言なのだが、一度もシフトが被ったことがないメンバーがいるなどザラである。
よって、お互いに自分が思い浮かべているレベッカこそ唯一無二の存在であると思い込んでいる。
そもそも同じ名前のメンバーがそれほどたくさんいるなど知らないのでござる。
なので、慣れるまでは時々こうしたアンジャッシュ状態が起こりがちでござった。
ほっこりした場面
ボランティア活動をしていく中で、忘れられない心温まる場面があった。
それは、「新しい友人ができる」でござる。
これは拙者の話ではなく(笑)
ボランティアに参加していた60代くらいの女性たちの話でござる。
先述の通り、ボランティアスタッフの数は多く、その日のシフトで初めて見るメンバーもいることも多い。
とある日、60代くらいの女性二人が、同じ馬担当の「Side Walker(並行者)」を割り当てられた。
二人は互いに馬の左右に控え、シフトが始まるのを待っていた。
すると、これがカナダ人のコミュ力なのだろうか、手持無沙汰になると自己紹介が始まるのでござる。

始めまして! 初対面よね?
私はシェリー、よろしく

これはミラクル!
私は「テリー」、よろしくね
日本特有の思い込みだろうか、大人になってから新しい友人を作るのは難しいイメージがある。
どうしても学生時代の友人といつまでもダラダラとつるむ……はずが、ライフステージの変化で疎遠に……みたいなのが一般的な「友情あるある」だろうか。
書いていて哀しくなってきた(笑)
のだが、この出来事はそういった刷り込みに一石投じてくれた。
たまたま同じシフトだった。
たまたま名前が似ていた。
たまたま世代も一緒だった。
名前や世代で言えば、話すきっかけになる人は案外いるものだとは思う。
しかしその「きっかけ」を見逃して、「他人」で終わっていくことの方が多いのではなかろうか。
もちろん、結局自己紹介しただけで友人と呼べるような深い関係にならないこともある。
拙者とて、このシェリー&テリーがその日限りの友人だったのか、今でも友人なのかは分からない。
けれど、人生いつどこから新章が始まるか、いい意味で分からんものだなと小さな希望を感じられた。
ボランティア番外編:干し草補充
一度だけだが、セラピープログラム以外のボランティアにも参加した。
それが「干し草補充」でござる。
これめっっっっっっっっっっっっちゃしんどかった(笑)
数日は筋肉痛で死ぬかと思ったくらいでござる。
干し草補充ボランティアの募集に際して「当日はジムを休んで来てください!」と強調されていた理由が身に染みて分かったぞい。
繰り返すが、セラピープログラムのボランティアでは心身に問題を抱える人たちと接することもあって、身辺調査を通過した人間しか参加することはできない。
一方、この干し草補充ボランティアでは、調査に拘らず知人友人を連れてきてよいことになっている。
というか、連れてきてほしい。(切実)
とにかくマンパワーを搔き集めるという、Dr.STONEマインドでござる。
実際、家族や友人を連れてきている人は多かった。
要は、単発で参加できるボランティアでござるな。
もちろん拙者はソロでござるが、何か?


こちらが作業時の様子↑
厩舎の外にクソデカいトラックを設置し、厩舎の二階にかけてチェーンコンベアをかける。
トラックの中から次々に干し草を送り込み、それらを厩舎二階で受け取った拙者らは部屋の隅から天井まで並べていくのでござる。
なんか、ルパン一味が金塊盗むときみたいで楽しかった(笑)
のだが、2時間も体力がもたない。
予定に応じて途中で帰っていいのだが、基本1シフト2時間程度になっている。
しかし、拙者は最後の30分はフラッフラで体に力が入らんかった。
トラックの内側がキレイサッパリ空になっているのが見えて安心したのも束の間。

油断するな!
あと数分で二台目のトラックが到着するぞ!
う、嘘やろ????????
これ以上は足手まといだと自己判断した拙者は、登録した通りの2時間シフトで撤退した。
年に何度か開催されるそうなのだが、拙者ワーホリ時には3月末に行われた。
ニッチな体験がしたい人、Halifax Lancersで干し草補充ボランティアがおすすめ!
ご褒美:ボランティアお疲れさま会
秋タームの終わりだが、「ボランティアお疲れさま会」が開かれた。
ここではついに我々ボランティアも馬に乗ることができる……!
日本に住んでいる頃も何度か馬に乗ったことがあった拙者。
それでもボランティア経験後の乗馬は、セラピー利用者の目線がほんの少しでも共有できるようで、なんだか新鮮だったぞい。
普段はテキパキと仕事をしなければならないシフト中とは違い、お疲れ様会では他のボランティアとゆっくり話すことができた。
というか、拙者はこのタイミングで初めて知った人の方が多かった (;^ω^)
なお、春タームでは残念ながら帰国の方が先だったので参加することはできなかったが、職場や学校以外でも友だちがほしい人にはぴったりのコミュニティだと感じたぞい。
おわり
以上、カナダワーホリで屈指の思い出、「Halifax Lancers」でのボランティア活動でござった。
「ワーホリ」と聞くと、どうしても「地元職で働く」、次いで旅行といったイメージが強いことでござろう。
特に、30代手前でキャリアブレイクした上でのワーホリとなると、余計に「将来のためになる就労経験を積まなければ!」と思い込んでしまうかもしれない。
しかし、地元ボランティアもワーホリならではの体験。
「日本ですらボランティアなんてしたことがない」という人も、いっそのこと初ボランティアを海外でしてみたらいかがだろうか。
人間関係、文化の違い、初めての慈善活動……それがどの切り口からかは行動してからのお楽しみだが、新な刺激を得られるはずでござる。
限られた時間でのワーホリ。
ぜひとも自分だけの一生の学びを存分に楽しんでほしい。
ここまで読んでくれてありがとう。



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