カナダのハリファクスにワーホリ中のこぼれ雨でござる。
カナダと言えば「禁煙先進国」のイメージを持っていた拙者。
しかし、実際に現地で暮らし始めると、そのイメージは木っ端微塵に打ち砕かれた。
カナダが禁煙先進国であるというのは嘘なのか。
それとも一部の地域だけが無法地帯なのか。
拙者が実際にこの目で見た実情や、設定されているはずの法律と共に見ていこう。
※ここではハリファクスでの体験談を基にしており、ワーホリ先として人気なバンクーバーやトロントでは実情が異なる可能性が高い!
そもそもどいういうルールなん

話を進める前に、カナダおよび地域規模での喫煙ルールはどうなっているのか軽くさらっておこう。
カナダ全体のルール
カナダは州・市レベルで厳しい喫煙規制を設けている(ことになっている)。
| 規制対象 | 規制内容 |
| 屋内 (レストラン、職場、ショッピングセンター等) | ほとんどの屋内公共スペースは全面禁煙 |
| 屋外 | 多くの州や市では、建物の出入り口、窓、換気口から一定距離(例:3m〜6m)以内、バス停などの乗り物待合所、屋外テラス席での喫煙が禁止 |
| 路上喫煙(公共の歩道など) | 禁止されていない州や市がほとんど |
また、初犯で$50〜$300など、違反者には罰金が科せられることになっている。
ノバスコシア州のルール
ノバスコシア州のタバコ規制は、主に州法である「Smoke-free Places Act (禁煙場所法)」と「Tobacco Access Act (タバコアクセス法)」、および各自治体の条例によって規定されている。
また、ノバスコシア州の規制は、タバコ製品だけでなく、電子タバコ、水タバコ(フーカー/シーシャ)、嗜好用大麻の喫煙や吸入にも適用される。
州法その1「Smoke-free Places Act (禁煙場所法)」
この法律は、受動喫煙から人々を保護することを目的としている。
| 規制対象 | 規制内容 |
| 屋内 | すべての屋内職場および公共の場所で完全禁煙 |
| 屋外 | 飲食店の屋外テラスや屋外ライセンスエリア、 公園などの遊び場や公共のスポーツ/イベント施設(20m以内)は禁煙 |
| 車内 | 19歳未満の者が同乗している自家用車内で禁煙 |
州法その2「Tobacco Access Act (タバコアクセス法)」
この法律は、若者へのタバコのアクセスを制限することを目的としている。
| 規制対象 | 規制内容 |
| 未成年者 | 19歳未満へのタバコ製品の販売は禁止 |
| フレーバー | メンソールなど、タバコ以外のフレーバー付きタバコ製品の販売は電子品も含め禁止 |
| 販売 | 小売店でのタバコ製品の陳列や、ポイント・オブ・セールを使った広告/宣伝は禁止 |
地域(Halifax Regional Municipality)の条例
全自治体の条例を載せるのはキツいので、今回は拙者の滞在地域であるハリファクスに限定する。
| 規制対象 | 規制内容 |
| 市有地全般 (市の公園、トレイル(遊歩道)、ビーチ、桟橋、ボート乗り場なども含む) | 指定された喫煙エリア(Designated Smoking Areas: DSAs)以外は電子タバコ含み禁煙 |
| 市が指定した禁煙ゾーン(no smoking zone) | 禁煙 |
| 公共施設、バス停、学校、病院 | 周囲15m以内は禁煙 |
| 道路や歩道 | DSA指定がない限り非喫煙エリア |
「市が指定した禁煙ゾーン」とか、言葉の通りやし説明するまでもないのだが……。
というツッコミはさておき、ハリファクスの条例に違反した場合、最低$25から最高$2,000の罰金が科される可能性がある。
実際に体験したこと

さて、なかなかしっかりとルールが設けられているらしいカナダ君。
しかし残念ながら拙者の見てきたものは違う。
正直、日本にいた時より受動喫煙している。
これだけで「日本に帰りたい」と毎日思っている。
マナーの悪い喫煙と言えば、偏見でしかないのだが、やはり中年男性のイメージが強いことでござろう。
しかし、実際にはロリータファッションの若い女性から、ベビーカーに赤ちゃんを乗せたママさんでもガンガン吸う。
これが一人や二人ではなく、そうじゃない人を見つける方が難しいレベルなのでござる。
個人的にすごく腹が立ったのは、スーパーマーケットやファストフード店の入り口に溜まっているホームレスによる路上喫煙でござる。
拙者がルームメイトとTim Hortons(カナダの有名コーヒー店)に行った際、店先にいるホームレスに対してルームメイトは「卵の入ったおかず系メニューを買ってこようか」と提案した。
卵は栄養があるし、それがベストだと思ったのだ。
しかし、ホームレスの返事は「アイスフラッペとタバコがいい」とのこと。
実際、路上に寝そべるホームレスの大半がタバコを吸っている。(拙者の見かけた限りだが)
そんなお金があるなら少しでも栄養のあるものを食べればいいのに、と思うのが自然でござろう。
拙者は彼らにお金や物資を施したことがないのであまり勝手なことは言えない。
だが、本音では「彼らは本当に困っているのかな?」と疑いを持ってしまった。
また、ショックなことにハリファクスの代表的な観光地であるWater Frontでは海に吸い殻を捨てる人が多い。
それだけでなく、木造デッキがあるので火気厳禁だのだが、普通に床や壁で火を消す人も見かける。
世も末ですな(´・ω・`)
一番驚いたのは、バスの中での喫煙!
ほんっまにビックリした。
市バスに乗っていたら、絶賛ヤニチャージ中の男性が乗車。
しかも拙者の真後ろに sit down !!(´・ω・`)
ハリファクスの市バスって完全に閉められるタイプの水筒以外は、たとえ蓋が付いていても飲み物の持ち込みが禁止なんでござる。
食べながらの乗車ももちろん禁止。
なのにタバコ!
おい、なに見逃しとるんや運転手!
できることならバスを降りたかったけどバイトに遅れるわけにもいかず……。
口を手で覆ったままやり過ごした。
受動喫煙に関する細かいエピソードなら毎日起こるくらいタバコ天国なハリファクス。
事前にこの情報があればワーホリ先を変更していたとすら思う。
カナダは「禁煙先進国」というイメージと現実

紹介した通り、カナダにおける喫煙は法律や条例自体は非常に厳しく、ゆえに「禁煙先進国」と呼ばれている。
実際、統計によるとカナダの成人喫煙率は約12.0%〜15%(2022年〜最近)であり、世界的に見ても比較的低い水準にある。
特に日本の喫煙率(G7の中では高水準)と比較すると、カナダの方が低い傾向がある。
また、カナダ政府は2035年までに喫煙率を5%以下にする目標を掲げており、過去数十年にわたり喫煙率は大きく減少してきた。
参照データ
Archived – Smokers, by age group
Canadian Tobacco and Nicotine Survey (CTNS): summary of results for 2022
しかし、その実際にルールが守られていない現状などが地域や個人の意識によって異なるため、謳い文句とのギャップを生む羽目になっている。
ゆえに、「カナダが禁煙先進国であるというのは嘘なのか」と聞かれたら、半分嘘で半分本当と答えるだろう。
統計では事実でも、拙者の体験では嘘なのでござる。
念のため改めて喚起しておくと、タバコ事情が酷いのはハリファクスだけの可能性もある。
日本からワーホリに来る人の多い大都会である、バンクーバーやトロントに比べて民度が低い可能性はある。
拙者は訪れたことが無いのだが、バンクーバーでは公共の建物入り口から6m以内での禁煙が条例で定められ、かなり徹底されているそうだ。
旅行で確かめられた際には、ここの記事に追記しようと思う。
なぜルールが守られないのか?

ルールが守られない背景にもいろいろ考えられる。
まずは取り締まりの緩さ。
罰則はあっても、警察官や市の調査官が常にパトロールして取り締まるわけではないため、「見つからなければ大丈夫」と考える人がいる。
というか、「みんな吸ってるから黙認されている」状態でござるな。
また、法規制への慣れも問題となっている。
厳しい規制が導入されたものの、時間が経ったことで人々の緊張感や関心が薄れてきているのでござる。
そして一番厄介なのが、大麻でござる。
嗜好用大麻が合法化されたことで、屋外での喫煙行為全般に対する社会的な目が緩んだ可能性もある。
ちなみに大麻はタバコより甘い臭いがするので分かりやすい。
拙者の体感だが、ハリファクスの中心街では大学近くのシェアハウスになるほど「タバコ・大麻OK」の物件が多かった。
学生さんが多いからでござろうか?
また、男性限定の物件も同様に「タバコ・大麻OK」であることが多かった。
シェアハウス探しの際に参考にされたし。
文化の違いの次元じゃない

社会全体としては禁煙志向で美しく見えるカナダ。
一方で、「公共の屋外空間をみんなで快適にしよう」という日本的な美徳はあまりないと思った方がいい。
一人一人を見ていくと、カナダ人の中にも「煙は嫌い」という人はたくさんいる。
同時に残念ながら、前章で紹介した他にもマナー違反の喫煙理由として、「外で吸ってるんだから文句を言うな」という感覚の人も一定数いる。
こういう人に限って使う決め台詞はいつも同じ、「自由、文化、多様性」でござる。
たしかに、カナダは個人の自由を非常に尊重する国でござる。
しかし、本来自由には「他者の権利を侵害しない」という責任が伴う。
他人の迷惑を顧みない喫煙行為は、カナダの法律・精神(特に受動喫煙防止や子供の健康保護)に反するもの。
非喫煙者やルールを顧みないマナーの悪い喫煙は、文化や自由、多様性を言い訳にできるものでは決してない。
単なる法令違反の行為ででしかないのでござる。
自由を履き違え、「他人に迷惑をかけても自分の自由を優先する」と考える一部の人が、禁煙先進国カナダを嘘にしているのでござる。
対策

非喫煙者である拙者らには何の罪もないとはいえ、己を健康を保つために何らかの対策はしたいものでござる。
現在進行形で拙者がしている対策といえば、
・喫煙者のたまり場(経験則)は遠回りしてでも避ける。
・バス停からかなり離れた風上で待ち、バスが来たらダッシュで乗車
・常にマスクを持ち歩く
・歩きタバコ、路上喫煙に遭遇したら息を止めて走り去る
などでござる。
拙者とて当初は、バス停・病院・学校周辺などの「吸ってはいけないエリア」を歩くようにしていた。
しかし、ルールを無視するような喫煙者にとって、子どもがいようが体の悪い人がいようがお構いなし。
己のお口の寂しさが最優先事項なのでござる。
とんだヤニバブ(おしゃぶりのようにタバコ離せれできない悲しい大人)でござる。
正直、何の罪もない非喫煙者がなぜ先回り気味に対策してやらなければいけないのかと業腹ではある。
が、所構わずルールを無視して吸うような輩、いつ逆上してきてもおかしくないでござるからな。
(これはカナダ問わず世界中で言えることだが)
己の命を人質に喫煙者のマナー違反を見逃すことを暗に要求される。
不公平と理不尽だ蔓延っているのが現状でござる。
おわり
以上、ハリファクスにおけるタバコ事情のリアルでござった。
ルールやら実情やら語ったが、拙者としての想いは一つ。
本当に、本当に悔しい。
ルールを破った方が得をするなんて、タバコ問題に限らずクソな世界だと思う。
これからカナダワーホリを楽しみにしている人は、もしかしたら残念なギャップに苦しめられるかもしれない。
本当にカナダに行くのか考え直すか、それでも行く場合は覚悟しておいて下され。
健闘を祈る。
ここまで読んでくれてありがとう。
※ここではハリファクスでの体験談を基にしており、ワーホリ先として人気なバンクーバーやトロントでは実情が異なる可能性が高い!


コメント