食事は五分以内に終わる忍者。
対して、一時間以上かかる貴族。
みなさまはどちらだろうか。
拙者は後者でござる。(ただし貴族ではない)
食べるスピードというのには、食事の量やTPOだけでなく、身体構造の個人差も関係する。
しかし、残念ながら世間では、食べるのが遅い人へのマイナスイメージは根強い。
「ぶりっこしている」
「協調性がない」
「甘やかされて育っている」
今日はその汚名をわずかばかりでも返上できるよう、その実態を拙者個人の視点中心に語っていこう。
「食べるのが遅い」とは、実際にどのくらい遅いのか?

己の名誉のために言っておくと、決してスマホを見ているわけではないし、外食時は周囲の様子に合わせる。
例えば混雑しているラーメン屋では、提供された瞬間から食べることだけに集中し、ご馳走様したら速やかに退店する。
友人といる時は、喋ってばかりにならないようにモグモグしながら首肯だけしていることもある。
しっかしそれでもデフォルトスピードが遅いのでござる。
小学生の頃は、食べ終わるのがいつも教室で最後だった。
会社員時代は45分休憩で食べ切るのが戦のようでござった。
初期値と伸びしろが乏しすぎるのか、努力と工夫で上げられるスピードに限界があるのでござる。
食べるのが遅い人の中にはおそらく、拙者のように試行錯誤をしている人もいれば、純粋にダラダラしているのが原因且つそれを改善しようとしていない人もいることでござろう。
スロウイーターイメージ向上委員会の努力も虚しく、後者の人々は食べるのが遅い人への風当たりを強くする。
次章では、食べるのが遅い人へのマイナスイメージを見ていこう。
食べるのが遅い人への批判

冒頭でも述べたように、食べるのが遅い人への批判は少なからず存在する。
ネットおよびSNSを徘徊して多かった批判をざっくりまとめてみた。
食べるのが遅い人へのマイナスイメージ
・ふわふわ不思議ちゃんアピールが癪に障る
・単純にマナーが悪い
・のんびりしている姿にムカつく
・上品だと思っていそうで不快
・逆に食べるのが早い人を見下している
・お店の回転率を下げていて迷惑
・一緒に食べている人を平気で待たせる協調性のなさ
・周囲を苛々させていると思いもしないあたりが甘やかされて育っていそう
わーお。
風評被害( ^ω^ )
中には風評被害と決めつけられないものもある。
例えば、お皿の中身が全然減っていないのにお喋りばかりしている人。
明らかに入店待ちの列ができているのに、スマホを見ながら食べている人や、食べ終わっても長居する人。
中には「店側から滞在時間を制限されていない限り気を遣う必要はない」という意見もあるだろう。
それも一つの意見としてありだが、拙者だったらやらぬ。
気を遣うなんて高尚なことではなく、単に「他人にされて嫌なことは自分もしない」論に基づいている。
というか、「はっきり注意されるまでやりません」はあまりに稚拙思考では?
天然説については正直よく分からないが、「自分は食べるのが遅い」ということに気付いていない人は自然とこれに当てはまっているかもしれない。
この無自覚タイプは、「のんびりしている」「周囲を苛々させていると思いもしない」にも該当するだろう。
甘やかされて育っているかも軽率に判断できないが、「ゆっくり食べなさい」「よく噛んで食べなさい」と強く言われて育っている可能性はある。
他にも、兄弟構成も原因の一つとして考えられる。
よく聞くのが、大人数で育った人(特に男兄弟)は食べ物の奪い合いが激しさゆえに早食い、一人っ子は奪われる心配がないのでゆっくり食べるように育つ、というもの。
このように、「食べるのが遅い」と言っても、その背景は様々である。
また、食べるのが遅いなりに周囲と共存しようとしている人もいる。
食べるのが遅い人に迷惑をかけられた経験があれば、マイナスイメージを持つのも無理はない。
しかし、「食べるのが遅い人は一人残らずゴミ」と決めつけるのは待っていただきたい。
とはいえ、気持ちだけで訴えても仕方がない。
ここからは心機一転、身体構造から食べるのが遅い理由を考察していこう。
身体構造との関連

そもそも、食べるスピードというのは個人の意識以前に、身体構造の差も関係がある。
考えられる身体構造要因を三つあげるので一緒に見ていこう。
なお、それぞれの特徴はあくまで一例に過ぎないことをお忘れなく。
・嚥下反射
・必要な咀嚼回数
・唾液の量・質
嚥下反射
食べるのが遅い身体構造要因の一つ目は、嚥下反射の違いでござる。
嚥下とは、簡単に言うと飲み込む動作のことでござる。
食べるのが遅い人は、食べ物の大きさや形状に対する嚥下反射が慎重で、大きい塊を飲み込みにくい仕組みになっている。
一方、食べるのが比較的早い人は、多少形が残っていても喉の筋肉を使って押し流すことができる。
個人的にこれはめっっっっっっっっっっちゃ分かる。
たくさん噛んで小さくせんと飲み込めぬ。
もしかして喉の管狭ぇのか?
首はオークのように太いのだが……(´・ω・`)
必要な咀嚼回数
食べるのが遅い身体構造要因の二つ目。
それは、咀嚼の回数が多いことでござる。
食べ物を十分に細かくしてからでないとうまく飲み込めない人は、自然と咀嚼回数が多くなる。
彼らは胃や食道に負担がかかると本能で感じており、中には感覚過敏に近いタイプもいる。
反対にたくさん噛まなくてもスムーズに食べられる人は、顎の力や歯並びなどによって比較的少ない回数で効率よく食べ物を細かくできると考えられる。
咀嚼回数は、先程紹介した嚥下反射に密接に関連しているのはもうお分かりでござろう。
唾液の量・質
食べるのが遅い身体構造要因三つ目は、唾液でござる。
唾液の分泌量が少ない、または粘性が高い場合、食べ物がまとまりにくくなり、飲み込みにくさに繋がる。
逆に、唾液が豊富で質が良いと、食べ物をスムーズに食道に送る優秀な潤滑油として機能してくれる。
唾液の質の悪さの原因の一例として、ストレスがある。
例えば、プレゼンや試合など、緊張する場面の直前って口の中乾くでござろう。
このように、ストレスで自律神経が乱れるとネバネバした唾液になる。
先述したように、食べ物を細かくしないと飲み込めないタイプの中には感覚過敏な人もおり、何かにつけてストレスを感じやすく唾液の質が下がりやすいのかもしれない。
悲しき相互作用……(´・ω・`)
他にも、口呼吸、水分不足、喫煙習慣、虫歯、薬の副作用など様々な要因があるので参考までに。
食べるのが遅いことのデメリット

さて、食べるのが遅いことには人間性や生活環境以前に、身体構造が関わることを知ってもらえただろう。
食べるの遅い界隈への理解が少し深まったところで、次はそのデメリットを紹介する。
例えば拙者の場合、学校や職場の昼食休憩の時間が足りなくて常に困っていた。
だったら量を減らせばいいのだが、満腹度的にはまだまだ食べられるのが実際のところで、足りないのは時間だけなのでござる。
制限時間に合わせた食事量にすると、その後爆速でエネルギー切れを起こす羽目になる。
そしてやはり問題として大きいのは、他人との食事でござる。
複数人で食べている時は、大概誰かが話しており、拙者はその隙にステルス機能を全開にして食事に集中する。
万一話しかけられても、とりあえず相槌だけ打っておけば会話に参加している体は保てる。
地味にキツイのが二人だけの時でござる。
話し相手はもちろん拙者しかいないので、相手ターンの内に全力もぐもぐして、しかる後に速やかに拙者のお喋りターンという形になる。
また、先に食べ終わられても、複数人の場なら拙者以外の人たちで喋って待ってもらえるのだが、二人きりだとどうしても待たせる以外になくなる。
対策という程のことではないのだが、熱いものは提供に時間がかかるものは注文を控えるようにしている。
他にも、手羽先や蟹みたいに格闘が必要なものや、小洒落たものも同じく見送っている。
どうしても食べたければ、別の機会に一人で再来店するという涙ぐましい(←大袈裟)な努力をしている。
食べるのが遅いことのメリット

社会面では批判されがちな「ゆっくり食べ」だが、身体的・精神的な健康面ではメリットがある。
「ゆっくり食べる」ことは、基本的に「よく噛む」という動作から始まっている。
以下にあげるメリットも、よく噛んでいることが根底にあることを意識して読んでみてほしい。
ゆっくり食べることのメリット
・胃腸に優しい
・満腹感に気付きやすく太りにくい
・味や食材に集中することができる
・食事を最大限に楽しむことができる
健康面にの前者二つに対し、「集中」や「楽しむ」といった精神面では「そんなこと」と思われるかしれない。
しかし、拙者個人としては、ゆっくり食べることによる精神的な恩恵のおかげで、一人暮らしでの食事時間を寂しいと感じたことが一度もない。
むしろ、たまに友人と会ったり実家に帰ったりすると、食事中に「忙しいな」と感じてしまうくらいでござる。
特に、どんどん世紀末と化すこの日本もとい世界では、生きているだけで憂鬱になることが多い。
拙者なんかメンタル弱すぎて、ちょっとしたニュース見ただけですぐに病む。
そんな拙者だが、自分で作ったご飯を「美味しいな」と味わいながら食べている時は、比較的生きている喜びを感じられる。
普段は生き急ぎながら食べている人も、たまにはゆっくり食事を味わってみたらどうだろうか。
食べるのが遅い人向け「分かり合う工夫」

ここで紹介するのはあくまで周囲に人がいる場合で、家で一人飯の場合は一ミリも気にしなくてよい。
言うまでもないのだが、あえて論外パターンから紹介する。
これらを他人との共有の場でしてる人は、食べるのが遅いことを責められる覚悟をしておいた方がよかろう。
・ダラダラスマホを触っている
・ながら食べをしてる
・食事そっちのけで喋ってばかり
論外パターンをしていない前提のプラスアルファとして、外食時や他人がいる場合に実践できる歩み寄り術は以下でござる。
・食べるのが遅いのを申告した上で先に注文させてもらう
・熱いもの、提供に時間のかかるものは避ける
・忙しくない店や時間制限のない店を選ぶ
・食べるのに手間取らないメニューを選ぶ
・仲のいい相手ならあえて「食べるのが遅い」ことを申告しておくのもアリ
しつこいようだが、対策を紹介したとはいえ食事スタイルは人それぞれ自由ということでござる。
ゆっくり食べようが、何を注文しようが、本当は気にしなくてもいいのでござる。
ただ、食べるスピードの違う人と友好な関係を築いていきたい場合は、上記のような工夫も取り入れる価値があるだろう。
ぜひお試しあれ。
本当の問題は「スピード」ではなく「人間性」

食べるのが遅い人のいろんな事情を知ってもらいたい。
食べるのが遅い人には、ちょっとした工夫を紹介したい。
本記事はそんな気持ちでここまで書いてきた。
しかし、本当の問題は「スピード」そのものではない。
大事なのは「人間性」でござる。
食べるのが遅い人への嫌悪感は、その個人の内面の稚拙さがたまたま「食べるスピード」に出ていただけかもしれない。
例えば、明らかに忙しそうなラーメン屋でスマホを見ながらダラダラ食べている人や、食べ終わってからも長いする人を見かけたら誰だってマイナス感情をもつだろう。
このような行動をする人はおそらく、食事という場面以外でもダラダラしたり周囲の状況を見ようとしていなかったりする可能性が大いにある。
「遅い」という一点で言えば拙者も同じだが、こういった人たちには拙者とて嫌悪感がある。
思うに、「食べるのが遅い」ことそのものが問題なのではなく、所構わず食べるのが遅い自分を押し通せる人間性が問題なのではなかろうか。
また、仮に食べるのが遅いことを美徳としているとしても、だからといって逆に食べるのが早い人を一概に馬鹿にすることはできない。
子育てで一瞬も目が離せない人や、激務に追われてろくに休憩時間も取ることができない人。
この不条理な世界でそれぞれにのっぴきならない事情を抱えながら生きている。
食べるのが早い人を「健康意識が低い!」などと詰るのは、食べるのが遅い人を一括りに「社会不適合者」と非難するのと何も変わりない。
人には人のペースや事情が存在する。
一方だけが負担するのではなく、お互いに理解と歩みよりをもって過ごしたいものでござる。
おわり
以上、食べるスピードが遅い界隈の実態でござった。
多少言い訳のように感じた人もいるかもしれない。
もちろん、迷惑を被った経験があれば、食べるのが遅い人への印象が悪くても無理はないだろう。
しかし、中には周囲に合わせようと工夫している人も存在している。
また、食べるスピードが早い人や普通な人に対して「俺たちのために配慮してくれ!」などと言わない。
食べるのが遅い側ができそうな対策はこちらでする。
食べるのが遅い界隈の一人として、本っ当に微力ながらイメージ向上に取り組んでいく。
異なる食事スピードの人どうしで快適に過ごせるよう、この記事が一人でも多くの人に届いたら嬉しい。
ここまで読んでくれてありがとう。


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